読了『あの日』

小保方晴子氏の『あの日』を読みました。

書店でも品切れとの報道を見て、ついKindle版を購入しました。

できる限り事実に基づきフェアに書こうという意志は読み取れます

読んだ印象は、丁寧に時間をかけて事実をプレーンに書こうとしたことが十分に伝わってきます。書かれていることがどこまで事実なのか判断のしようもありませんが、少なくとも報道で一般的に言われていることよりもリーズナブルな説明だと個人的には納得しました。

前半は研究者に至るまでの半生が綴られています。多少感傷的な部分はあるが、まだ若い女性が半生を振り返った文章としてはこんなもんでしょう。そもそも手記であることから、当然自分のその時感じた感情が記述されるのは当然のことだと思います。

後半は、あの論文に至る研究の過程と、騒動になった後の顛末が書かれています。研究の過程については、おそらくかなり素人にもわかるよう気を使ったのでしょうが、素人にはやはり用語が並ぶだけでなかなか理解が難しいところです。多分、「STAP細胞があるのか、ないのか」という素人的な興味は、本来この部分をきちんと理解すべきなのでしょう。

一方で騒動については、彼女の視点で「なぜああなったか」ということが淡々と描かれています。簡単に言うと、組織の中で力学ですべき主張を怠った、その組織の中に若山照彦氏という異常な人物がいたということでしょう。個人的には一連の報道での若山照彦氏の他人事のような発言や、その後のむしろ告発側に回ったような活発な発言に違和感を感じていたので、「あぁ、やっぱり」と感じてしまいました。この本には若山照彦個人への非難や告発が書かれているわけでなく彼女から見た若山照彦氏の行動が書かれているだけです。それだけにこれが事実だとすると、こんな人間が研究者だったり教育者だったりするのが空恐ろしくなります。

報道に非道ぶりにも触れられています。この部分か直接的な被害を受けている部分でもあり、NHKや毎日新聞の須田桃子記者などが名指しでの批判が書かれている。NHKスペシャルや須田桃子記者の記事など振り返って読み直すと、どちらが最低な人間かよく分かります。

誰が「捏造」したか?

これを読んで、「少女漫画のような半生」とか「後半は恨み事と言い訳ばかり」という批判が目立ちますが、そういう読後の感想を読むと「あの日」から始まったマスコミの正義のキャンペーンの影響って大きいのだなと思います。かなりの悪意を持って読まないとこういう読み方はできないと思います。こういう批判をしているジャーナリストや科学者を覚えておこうと思います。とても信用できない類の人間です。報道とこの本を読み比べると、「誰が捏造したか?」と考えると「論文」より「報道」の方が怪しい印象を持ってしまいます。

あの釈明会見を見ていて「嘘は言ってないよな」と感じた自分の直感とその後の報道のズレが気になっていました。小保方晴子氏に特別な思い入れがあるわけではありませんが、このズレが自分の中で釈然としました。

研究者として返り咲けると良いですな。

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